相続した不動産の名義変更の方法や相談先について

記事をご覧いただき、ありがとうございます。司法書士の山田武史です。

ご家族や親族が亡くなったときに、故人が不動産を所有していた場合は、その不動産の名義を変更する手続きが必要になります。

本記事では、不動産の名義変更の方法やご自身で手続きすることが困難な場合の相談先について、解説いたします。

そもそもの不動産の名義とは?

不動産の名義とは、土地や家屋、マンションなどの不動産を「誰が所有している」のか示すものになります。一般的には、土地を購入したり、家を建てた際は、その不動産を管轄する法務局に「登記」の申請を行います。

登記申請をすることで、「不動産の登記簿」に、その不動産の所有権を持つ者として住所や氏名などが記載されることになります。そして、不動産の名義とは、不動産の登記簿に所有者として記載・記録されていることをいいます。

不動産の登記簿とは?

「不動産の登記簿」とは、土地や建物、マンションといった不動産の所有者の氏名や住所を記録した帳簿のことです。

不動産の登記簿は法務局で管理されており、「不動産の登記簿謄本(「登記事項証明書」とも言います。)」を取得することで、誰が所有者であるかなどの権利関係が明確になり、不動産取引の円滑かつ安全を図る役割を持っています。

不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)とは、その不動産の登記簿に記載されている権利関係が記載・記録された証明書のことです。

不動産の登記簿謄本は、所在・地番・家屋番号などが分かっていれば、全国の法務局で誰でも取得することができます。

以下は、不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)の見本になります。

引用元:法務省ウェブページ「不動産登記のABC

相続した不動産の名義変更(相続登記)とは

ここまでは、不動産の名義について、ご説明しました。不動産の名義とは、不動産の所有者であり、不動産の登記簿に記載されていることをいいます。そして、その不動産の名義人が亡くなると、その不動産の所有権が亡くなった名義人(被相続人)から相続人に移ることになります。

不動産の名義が相続人に移った後は、不動産の登記簿の記載についても変更する必要があります。つまり、不動産の名義が亡くなった人(被相続人)のままだと、亡くなった後の所有権が誰に移ったのか若しくは、誰が不動産を相続したのか明確にならないため、所有権を相続した相続人の名義に変更する手続きが必要になります。

この手続きのことを「相続登記」といいます。

2024年4月1日からは「相続登記が義務」になります。

これまでは、不動産の名義人が亡くなったとしても相続登記を申請することは義務ではなく、手続きをせず放置をしていたとしても罰則もありませんでした。

ただし、今年(2024年)の4月1日からは、相続登記の申請が義務になり、「ご自身が不動産の所有権を取得した(相続する)ことを知った日から3年以内」に相続登記を申請しなくてはいけません。この期限内に相続登記を申請せず、怠ってしまうと10万円以下の過料に処せられる可能性がありますのでご注意ください。

関連記事:相続登記が義務になる?相続登記の義務化と知っておきたいポイント

相続登記の手続きの流れ

以下は、相続登記の手続きを行う際の大まかな流れになります。

※遺言書があるなど、事案によって収集する書類や手続きの流れが異なることがあります。

不動産の名義人が亡くなる
戸籍などの必要書類を収集する
  • 亡くなった方の出生から死亡まで繋がりが取れる戸籍や相続人全員の戸籍を収集します。

詳しくは、「相続人の調査について」もご覧ください。

相続人全員で遺産分割協議をする
  • 相続人が複数いる場合は、相続人の中から不動産を相続する人を決めるための遺産分割協議を行います。
    ※相続人全員の名義で相続登記を申請することもできます。ただ、不動産を共同名義にすることは、将来、権利関係が複雑になることがあります。可能な限り特定の相続人1人に権利を集約して登記することをお勧めします。
登記申請書を作成する
  • 必要書類の収集が完了した後は、相続登記の申請書を作成します。登記申請書については、法務局のホームページに申請書の書式例が掲載されていますので参考にしてみてください。
    法務局HP「不動産登記の申請書様式について
不動産を管轄する法務局に申請する
  • 相続登記を申請する法務局には決まりがあり、相続登記の対象となる不動産を管轄する法務局に申請する必要があります。
    管轄法務局については、法務局HPの「管轄のご案内」をご覧ください。

詳細については、「不動産の名義変更(相続登記)」もご覧ください。

相続登記は、ご自身で手続きすることもできる

相続登記は、相続人自身で手続きをすることもできます。ただ、ご自身で手続きするとしても戸籍の収集や申請書を作成するための手間や費用と登記を申請する際の登録免許税という税金の納付が必要になります。

相続登記の登録免許税は、相続する不動産の固定資産税評価額に0.4%を乗じた金額になります。

例えば、相続する不動産の固定資産評価額が1,000万円であれば4万円の税金がかかります。

必要書類の確認や登記申請書の作成方法は、法務局の相談窓口(事前予約制)があります。ご自身で相続登記の手続きをチャレンジしようとお考えの方は、法務局の無料相談窓口を利用することも検討してみてください。

相続登記は、「司法書士」に依頼することもできる

相続登記は、ご自身で手続きをするとしても必要書類の収集だけでも時間や手間が掛かります。

まず、必要書類の中でも時間がかかるのが戸籍の収集です。戸籍は、本籍地のある市区町村ごとに請求をする必要があり、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めるとなると、相当な手間と時間が掛かります。また、登記申請書ですが、こちらも決まった形式があり、事案や事情によって書き方の形式が決まっています。

法務局の相談窓口を利用したとしても一度で全ての書類が整うことはなく、何度か足を運んでその都度確認をしてもらう必要があります。

平日の時間帯で時間に余裕がある方はご自身で手続きすることができるかもしれませんが、日中お忙しい方やご自身で手続きすることが面倒に感じる方は、司法書士に依頼することをお勧めします。

※令和6年3月1日からは、「戸籍の広域交付制度」が開始しますので、従来に比べて戸籍の収集が簡単になるケースもあります。

関連記事:「戸籍の収集が簡単になる!?令和6年3月1日から始まる「戸籍の広域交付制度」について

相続登記の手続きを司法書士に依頼した方が良いケース

以下のケースに該当する方は、専門家である司法書士に相談・依頼して手続きすることをお勧めします。

  • 平日に区役所等に出向くことが難しい方
  • 相続人が多数
  • 相続した不動産の数が多い
  • 相続した不動産が遠方にある
  • 不動産ごとに相続する相続人が異なる
  • 相続した不動産を売却する予定があり、スケジュールに決まりがある
  • 疎遠な相続人がいる
  • 始めは、自身で手続きしようと思って、途中で断念してしまった方

相続登記の手続きを司法書士に依頼した場合は、戸籍の収集費用や登録免許税に加えて報酬が発生します。司法書士の報酬は、自由化されており、各司法書士事務所ごとに金額が異なります。

また、相続登記とはいっても事案や内容によって金額が加算されたりすることもあります。

ただ、弊社にご依頼頂いた際の平均的な報酬金額としては、約10万円から12万円に収まっていることが多いです。(※ただし、事案が複雑な場合は別途費用を加算させて頂くこともあります。)

ご自身で手続きすることが面倒に感じる方は、始めから司法書士に依頼を丸投げして手続きしてもらった方が楽ですし、迅速かつ確実に手続きが完了しますので、依頼することをお勧めします。

まとめ

記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

相続登記は、一般の方にとっては中々経験する機会もないので、実際の手続きにかかる手間や費用についてイメージが付きにくいかと思います。

ただ、実際にご自身で書類集めなどをしてみると手間がかかり、面倒に感じる人が少なくありません。当事務所にご依頼頂く方の中にも、最初は自身で手続きしようと思っていたところ途中で断念されて、ご依頼を頂くこともあります。

司法書士に依頼すれば費用はかかりますが、その分ご自身の手間を掛けずに手続きが完了しますので結果的には、費用対効果としては悪くないと思います。

当事務所は、相続登記を含めた相続手続きのご依頼を承っております。

初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから(お問い合わせフォーム)

山田武史司法書士事務所 
〒107-0062 東京都港区南青山二丁目2番15-1319号
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