知っておくべき遺言書の種類

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遺⾔書の種類と特徴

遺言書とは、相続が発生したときに自分の財産を誰にどのように渡したいのか、本人が生前に意思表示した書面のことです。

遺言書を書いた本人が亡くなった後は、基本的には遺言書に記載されているとおりに財産を分けることになります。したがって、遺産の分配について相続人同士が話し合う必要がなくなるため相続トラブルを防ぐ効果があります。

遺言書は法律の定めにより、いくつかの種類に分けられますが、一般的に広く利用されている遺言書は、「⾃筆証書遺⾔」と「公正証書遺⾔」の2つになります。

また、実際に遺言書を作成する際は、法律に定める方法や様式を守って作成する必要があり、不備があると遺言書自体が無効となって、相続が発生した後の手続きにも使用できなくなります。

したがって、遺言書を書く際は、遺言書に書く内容だけではなく、作成方法にも不備がないよう慎重に作成しなければなりません。

ここでは、遺⾔書の作成を検討されている⽅に向けて、2つの遺⾔書の作成方法やメリット・デメリットをご説明いたします。

⾃筆証書遺⾔とは

⾃筆証書遺⾔とは、⽂字どおり本⼈の⾃筆で書く遺⾔書のことです。

遺言書を書く⽤紙の⼤きさに決まりはありませんが、書くときのペンについては、シャープペンシルなどの直ぐに消えてしまうものは避けて、ボールペンなどで書きます。

また、⾃筆証書遺⾔は⼿軽に書けると思われがちですが、実際は、法律の定めにより、遺言書の書き方など形式的な要件が厳格に定められています。この要件が守られていないと遺⾔書自体が無効となり、相続が発生した後の手続きでも使用することができません。

遺言書を書いたとしても無効にならないよう、形式要件を守った遺言書を書くことが何よりも大切になります。

以下からは、⾃筆証書遺⾔を作成するときの要件(ルール)について、ご説明します。

要件① 本⼈の⾃筆で全文を書くこと

⾃筆証書遺⾔は、遺言書の本⽂作成した⽇付(書いた日)遺言を書いた本人の⽒名を全て本⼈の⾃筆で書かなければならず、パソコンによるワードや本⼈以外による代書(代筆)によって作成することはできません。

また、⾳声や動画などの映像データで、遺⾔を残されていても法律上の⾃筆証書遺⾔を作成したことになりません。したがって、⾃筆証書遺⾔は本⼈の自筆が前提となります。

※法改正に伴い2019年1⽉からは、財産⽬録だけはパソコンでの作成が認められるようになりました。ただし、パソコンにより作成した財産⽬録は、ページごとに遺⾔者本⼈の署名・捺印が必要になります。

要件② 遺⾔書を書いた⽇を明確にすること

⾃筆証書遺⾔書には、必ず作成⽇を記載しなければなりません。

また、「令和〇〇年〇⽉吉⽇」というような表記では作成⽇が特定できず、遺言書自体が無効となってしまいます。必ず「令和●年●⽉●⽇」や「20●●年●月●日」など、日付を明確にして書くことが必要になります。

要件③ 遺⾔者本⼈の署名をする

⾃筆証書遺⾔には、必ず遺⾔者本⼈の⽒名を⾃署しなければなりません。

また、氏名の表記については、戸籍謄本に記載されている表記のとおり書くことが必要になります。

要件④ 本⼈の印鑑で押印する

本⼈の自筆で書くこと以外にも本人の印鑑で押印することが必要になります。

押印に使⽤する印鑑は認印でも構いません。ただし、実印で捺印した⽅が遺言書としての信頼性が⾼まります。

また、自筆証書遺⾔は、封筒に⼊れて封印することは要件ではありません

ただし、遺言書の改ざんを予防するために封筒に入れて遺言書を保管する⽅が望ましいでしょう。

要件⑤ 遺言書の一部を訂正する⽅法について

⾃筆証書遺⾔に記載した内容に誤りがあるときは、訂正する⽅法にも要件が定められています。

以下に、具体的な訂正方法について、イラストと併せてご紹介いたします。

ただし、訂正箇所が多いときや遺⾔書の内容自体を変更する場合には、改めて遺⾔書を書き直した方が安全です。

文書の一部を削除する⽅法
文書の一部を削除する⽅法

解説:削除するための⼿順

※①削除したい箇所に⼆重線を引きます。

※②削除した箇所の近くに、削除前の⽂字が⾒えるように訂正印を押します。
  遺⾔書の署名捺印欄に使⽤した印鑑と同じ印鑑で押印します。

※③遺⾔書の末尾の余⽩(または訂正箇所の近くに)削除した箇所を指示して遺言者本人の氏名を自署します。

文書を加筆する⽅法
文書を加筆する⽅法

解説:加筆するための⼿順

※①加筆したい箇所に吹き出しで追加する⽂⾔を遺言者本人が自筆で追記します。

※②加筆した箇所の近くに、訂正印を押します。
  遺⾔書の署名捺印欄に使⽤した印鑑と同じ印鑑で押印します。

※③遺⾔書の末尾の余⽩(または訂正箇所の近くに)追記した箇所を指示して遺言者本人の氏名を自署します。

文書を訂正する⽅法
文書を訂正する⽅法

解説:訂正するための⼿順

※①訂正したい箇所に⼆重線を引きます。
このときに修正テープやボールペンなどで塗り潰さないでください。訂正前の箇所が読み取れるようにするために、⼆重線を引きます。

※②横書きの場合は⼆重線の上、縦書きの場合は⼆重線の左側に、吹き出しで正しい⽂⾔を記載します。

※③訂正前の⽂字が⾒えるように訂正印を押します。
  遺⾔書の署名捺印欄に使⽤した印鑑と同じ印鑑で押印します。

※④遺⾔書の末尾の余⽩(または訂正箇所の近くに)に訂正箇所を指示して遺言者本人の氏名を自署します。

⾃筆証書遺⾔のメリットとデメリット

⾃筆証書遺⾔のメリット

①紙とペンと印鑑があれば、いつでも作成できる

⾃筆証書遺⾔は、⾃筆で書く⼿間がかかりますが、その反対に紙とペンと印鑑があれば、いつでも作成できるので⼿軽に作成することができます。

②⾃⾝で作成すれば、費⽤がかからない

⾃筆証書遺⾔は、形式要件を満たしていれば、ご⾃⾝1⼈で作成できるため専門家に支払う報酬などの費⽤がかかりません。

後述する「公正証書遺⾔」の作成には、公証役場に支払う⼿数料と証⼈2名の⽇当がかかります。

また、⾃筆証書遺⾔を作成する場合でも記載する内容について、弁護⼠や司法書⼠に⽂案の作成を依頼する場合は費⽤が発生します。

③遺⾔書の内容と存在を秘密にできる

⾃筆証書遺⾔は、遺⾔書を書いたことを家族に知らせることは要件ではありません。

また、遺⾔書を封筒に⼊れて封をすれば、遺⾔書の内容を誰かに知られることもありません。

⾃筆証書遺⾔のデメリット

①遺⾔書の破棄、隠匿、改ざんをされやすい

⾃筆証書遺⾔は⼿軽に作成できることの反対に、本⼈の意思で書いたかどうかを⽴証する⼿段がありません。つまり、第三者によって偽造されやすい遺言書でもあります。

また、本⼈自らの意思で遺言書を書いたとしても、相続⼈の誰かが後から遺⾔書を書き換えたり、破棄(捨てたり)・隠匿(隠す)したりする可能性があります。

②形式の不備で無効となりやすい

⾃筆証書遺⾔を専⾨家に相談せずに⾃⾝1⼈で作成した遺⾔書は、法律上の要件を満たしておらず、不備があるなど、自筆証書遺言自体が無効になることも少なくありません。

また、要件を満たしていても遺⾔書の記載内容が不明確だったり曖昧な表現を使⽤してしまうと、その解釈について相続⼈間で争いが起きる可能性があります。

③相続開始後は、家庭裁判所の検認が必要になる

相続が開始した後は、家庭裁判所で自筆証書遺言の検認⼿続きが必要になります。

「検認」とは、家庭裁判所において遺⾔書の現状を保全するための⼿続きのことです。

遺言書を書いた本人が亡くなった後に、自筆証書遺言を使用して不動産の相続登記や預貯金の解約などの相続手続きを行うには、前提として家庭裁判所における検認が必要になります。

自筆証書遺言を書いた後、直ぐに家庭裁判所の検認を行うのではなく、遺言書を書いた本人が死亡した後の相続手続きの際に家庭裁判所の検認が必要になります

したがって、後述する公正証書遺⾔とは異なり、ご本人が亡くなった後に家庭裁判所の検認⼿続きが必要になるため、ご家族が負担する事務手続きが増えることになります。

※検認について、詳しくは「遺⾔書の検認について」をご覧ください。

自筆証書遺言でも「検認が不要」な場合もある(遺言書の保管制度)

令和2年7⽉10⽇から⾃筆証書遺⾔の保管制度が開始されました。

この制度は、自筆証書遺言の原本及びデータを法務局が保管しますので、自筆証書遺言であっても相続開始後の裁判所における検認⼿続きが不要になります。

自筆証書遺言の作成を検討されている方は、併せて遺言書の保管制度を利用することも検討してみてください。

※法務局に保管していない⾃筆証書遺⾔は、これまでどおり家庭裁判所の検認⼿続きが必要になります。

④遺⾔書が発⾒されない可能性もある

⾃筆証書遺⾔は、誰にも知られずに作成できることがメリットになりますが、反対に遺⾔書を作成したことや遺言書の保管場所を親族や知人に知らせずにいると、相続が開始した後に、誰にも遺⾔書が発⾒されない可能性があります。

したがって、せっかく遺⾔書を書いたとしても相続開始後に遺⾔書の存在を知られずに、相続⼈が遺産分割協議などを⾏って相続⼿続きを⾏うことになりかねません。

公正証書遺⾔とは

ここからは、もう⼀つの遺⾔書である公正証書遺⾔(「遺⾔公正証書」ともいいます。)について、ご説明します。

⾃筆証書遺⾔と公正証書遺⾔の⼤きく違う点は、遺言書を作成するときの⼿順です。⾃筆証証書遺⾔は、遺⾔者本⼈が自筆で書くことで1人で作成することができますが、公正証書遺⾔を作成するときは、公証⼈と証⼈2名の⽴会いが必要になります。

公正証書遺⾔は、公証⼈や証⼈などの第三者が⽴会いをして作成しますので、相続⼿続きに使⽤する書類として信⽤性や証明⼒が⾼い書類になります。

以下に、公正証書遺⾔の特徴(メリット・デメリット)と作成するための⼿順についてご説明いたします。

公正証書遺⾔のメリットとデメリット

公正証書遺⾔の特徴は、メリットとデメリットを確認することで理解することができます。

以下に、公正証書遺⾔のメリットとデメリットをご説明いたします。

公正証書遺⾔のメリット

①形式の不備によって遺言書が無効になることが無い

⾃筆証書遺⾔は、遺⾔者である本⼈が1⼈で作成できるため、法的要件(形式)を満たせず遺⾔書自体が無効になることがあります。

もう一方の公正証書遺⾔は、公証⼈が関与して作成しますので形式不備で無効になることはありません。

公証⼈とは、裁判官・検事・弁護⼠などの法律実務に携わった者で、法務⼤⾂から任命される特別公務員のことです。公証人は法律実務に精通しているため遺言書自体が形式の不備により無効になることはありません。

②遺⾔書の真正が担保される

遺⾔書の真正が担保されるとは、本⼈の意思に基づいて遺言書が作成されていることをいいます。⾃筆証書遺⾔は遺⾔者本⼈が1⼈でも作成できるため、必ずしも第三者が関与するとは限りません。

つまりは、自筆証書遺⾔があったとしても本⼈の意思に基づいて書いたのかは、客観的に明らかでなく、遺言書⾃体の信⽤性が問題になることが少なくありません。

公正証書遺⾔は遺言書を作成する時に、遺⾔書の内容について公証人が本人の意思を確認しますので、遺言書の真正が担保されます。

③家庭裁判所での検認⼿続きが不要

公正証書遺⾔は、公証⼈と証⼈2名の⽴ち会いのもと作成されることから、⾃筆証書遺⾔と⽐べて信頼性と証明⼒が⾼い書類になります。

したがって、自筆証書遺言とは異なり、遺言者本人が亡くなった後に家庭裁判所の検認手続きが不要になります。

④遺⾔書の紛失や破棄、隠匿、改ざんの⼼配がない

公正証書遺⾔の原本は公証役場で保管されて、遺⾔者本人や相続⼈には遺⾔書原本の写し(コピー)である謄本が交付されることになります。また、遺⾔書の謄本が紛失しても公証役場で再発⾏が可能です。

また、公正証書遺⾔を作成するときは、遺⾔者本⼈から遺⾔内容を公証⼈に⼝頭で伝え、公証⼈が筆記する形で作られるため、偽造や変造のおそれはありません。

遺⾔書を偽造や改ざんしたとしても原本は公証役場にありますので、直ぐに判明します。

⑤⽂字を書けない方や、⼝がきけない方、⽿が聞こえない方でも作成できる

公正証書遺⾔は⽂字が書けない⼈・⼝がきけない⼈・⽿が聞こえない⼈でも有効に作成することができます。

⽿が聞こえない、⼝がきけない方は、通訳⼈による⼿話や公証⼈との筆談などにより遺⾔書を作成します。⽂字が書けない⼈は、公証⼈による代筆が認められています。

なお、本人が文字を書くことができるにもかかわらず署名しなかったときは、公正証書遺言であっても無効になると考えられます。

代筆が認められているのは、本人の身体又は健康の理由によって、文字を書くことができない状況にある方に限られます。

公正証書遺⾔のデメリット

①⼿間と時間がかかる

公正証書遺⾔を作成するまでには、公証⼈と遺⾔書の⽂案について打ち合わせしたり、必要書類の準備と作成⽇当⽇に⽴ち会う証⼈2名の⼿配など、事前の準備に⼿間と費⽤がかかります。

証⼈については、公正証書遺⾔の作成を依頼した弁護⼠や司法書⼠に、証⼈を依頼することもできますし、公証役場に証⼈の⼿配を依頼することもできます。

しかし、デメリットとして掲げていますが、この⼿間と時間をかけることにより遺⾔書としての有効性や証明⼒が保全されるともいえます。

②作成には費⽤がかかる

公正証書遺⾔の作成には、公証⼈の⼿数料がかかります。具体的な⼿数料は、遺⾔書に記載する財産の価額や財産を相続(遺贈)させる⼈の数によって変わります。

参考までに、手数料の表を以下に記載します。

(参考)公正証書遺⾔の⼿数料

※なお、遺言の内容によっては、手数料が加算されることがあります。また、本⼈が公証役場に出向けない場合には、公証⼈の出張費が発生します。

⽬的財産の価額 ⼿数料の額
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に5,000万円毎に13,000円を加算
3億円を超え10億円以下 95,000円に5,000万円毎にに11,000円を加算した額
10億円以上 249,000円に5,000万円毎に8,000円を加算

③遺⾔書の内容を秘密にしにくい

公正証書遺⾔は、公証⼈と証⼈2名が⽴会って作成する遺⾔書であるため、公証⼈と証⼈2名には遺⾔書の内容が知られることになります。

もっとも、公証⼈及び証⼈には守秘義務や秘密保持義務が課せられていますので、ご本⼈が周辺に知らせない限り、遺⾔書の内容が外部に漏れることはありません。

公正証書遺⾔の作成⼿順

以下は、専⾨家などに依頼せず、ご⾃⾝で公正証書遺⾔を作成する場合の⼿順になります。

公証役場に予約の連絡をする

⾃宅の近くの公証役場に直接出向いても、その場で直ぐに遺言書を作成してもらえるわけではありません。事前に電話で連絡のうえ公証役場へ予約を⼊れます。

公証⼈と打ち合わせ

本⼈から、どのような遺⾔内容にしたいかを公証⼈に伝えます。

必要書類の準備

遺⾔書を書く本人の身分証明書や⼾籍謄本、遺⾔書に記載する財産の資料(不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書)などの必要書類を用意します。

遺⾔書の⽂案作成

本⼈の要望と財産の資料から遺⾔書の⽂案を作成します。本⼈は遺⾔書の⽂案を確認し、加筆修正が必要であれば、公証人に依頼します。

再度、遺言書を作成する⽇程を予約します

遺⾔書の⽂案が確定しましたら、公証⼈と証⼈2名が⽴ち会うための⽇程を公証役場に連絡して予約します。

公正証書遺⾔の作成(完了)

作成⽇当⽇は、公証役場で以下の流れに沿って遺⾔書を作成します。

  1. 証⼈2名の⾯前で、⽒名、⽣年⽉⽇を述べ、遺⾔者の本⼈確認をします。
  2. 公証⼈が、遺⾔書の原案を読み上げ、遺⾔者本⼈がその内容に間違いがないかどうかを確認します。
  3. 最後に遺⾔者と証⼈が遺⾔公正証書の原案に署名捺印し、最後に公証⼈が署名押印します。

公正証書遺⾔の必要書類

公正証書遺⾔の作成には、概ね次の書類が必要となります。

  • 遺⾔者の本⼈確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 遺⾔者と相続⼈(受遺者)の⼾籍謄本
  • 遺⾔書に記載する財産の資料(不動産の登記簿謄本や固定資産評価証明書など)
  • 受贈者の住⺠票(相続⼈以外の⼈に財産を譲り渡す場合には、その⼈の住⺠票)
  • 遺⾔者の実印
  • 証⼈予定者の⽒名、住所、⽣年⽉⽇(遺⾔者本⼈が証⼈を準備する場合)

⾃筆証書遺⾔と公正証書遺⾔の⽐較

以下は、「⾃筆証書遺⾔」と「公正証書遺⾔」のメリット・デメリットをまとめた⽐較表になります。

  公正証書遺言 自筆証書遺言
概要 公証人と証人2名の面前で遺言内容を口述して、公証人が遺言書を作成する。 遺言書の全文、作成日、氏名を自署のうえ捺印する。
メリット ・形式不備などによって無効となることが無い
・遺言書の真正が担保される
・家庭裁判所での検認手続が不要
・紛失や破棄、隠匿、改ざんの心配がない
・文字が書けない、口がきけない、耳が聞こえない方でも作成できる
・手軽に、いつでも書くことができる
・費用がかからない
・誰にも知られずに秘密にできる
デメリット ・作成するまでに手間と時間がかかる
・公証人への手数料がかかる
・遺言書の内容を秘密にしにくい
・破棄、隠匿、改ざんがされやすい
・形式不備で遺言書が無効となりやすい
・相続開始後に家庭裁判所で検認手続きが必要になる
・遺言書が(紛失)発見されない可能性がある

遺⾔書を作成するときの注意点(共通)

⾃筆証書遺⾔又は公正証書遺⾔のどちらを作成する場合でも共通して注意しなければならない点があります。

以下に、遺言書を書く際の注意点をまとめましたので、ご覧ください。

①遺⾔書を書くときは、本⼈に遺⾔能⼒が必要

遺⾔能⼒とは、遺⾔書を書かれる本⼈が遺⾔の内容を理解して、その内容によって起こる法律効果を判断できる能⼒のことをいいます。法律上(⺠法)は、15歳以上であれば遺⾔能⼒があるとされています。

例えば、遺⾔書を作成する時に認知症等の事情で本⼈の遺⾔能⼒に疑いがあると、将来相続が発⽣したときに、その存否をめぐって争いになり遺⾔書が無効になる可能性があります。

これは⾃筆証書遺⾔でも公正証書遺⾔でも同様です。遺⾔書は、本人の⾝体だけではなく、心も元気なうちから作成することが必要になります。

②遺留分は、遺⾔内容に優先する

遺留分とは、⼀定の相続⼈(兄弟姉妹を除く相続⼈)に保証されている最低限の相続分のことです。

遺留分が認められるのは、亡くなった人の妻(夫)、⼦(孫)、⽗⺟(祖⽗⺟)が相続人となる場合です。亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になる場合は、遺留分は認められていません。

亡くなった人が書いた遺⾔内容が相続人の遺留分を侵害している場合には、侵害している部分に限り遺⾔書が無効になります。

例えば、本人が「相続財産の全てを妻に相続させる」と遺言書を書いた場合は、本人が亡くなった後に他の相続⼈である⼦(若しくは、本人の父母)は、遺留分に相当する金銭の支払いを妻に請求することができます。

相続⼈間の争いを防ぐためにも遺言書を作成するときは、相続人になる人の把握と遺留分についての対策をすることが必要になります。

※詳しくは「遺留分について」をご覧ください。

③遺⾔執⾏者の指定

遺言執行者とは、本人が亡くなった後に遺言内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。

遺⾔執⾏者を指定することは、遺⾔書を作成するための要件ではありません。

ただし、相続開始後に遺⾔内容に従って確実に手続きをしてもらいたいと希望する場合は、遺言書の中に遺⾔執⾏者を指定することが必要になります。

実際に、遺⾔書の効果が現れるのは、本⼈が亡くなった後の相続⼿続きです。

遺⾔執⾏者の指定がなければ、遺言書の内容に沿った⼿続きを相続人全員が協力して進める必要があります。

つまりは、遺⾔書の内容によっては、⼀部相続⼈にとっては必ずしも利益にならないことがあります。そういった場合は、その相続⼈からの協⼒が得られず、遺言書を書いたとしても相続トラブルになることがあり、相続⼿続き自体が停滞してしまうこともあります。

相続開始後に、遺⾔内容を確実に実現されるかご不安であれば、あらかじめ遺⾔執⾏者を指定しておくことをお勧めします。

※詳しくは「遺⾔執⾏者について」をご覧ください。

当事務所の業務について(遺言書作成業務)

ここでは、知っておくべき遺言書の種類として「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について、ご説明しました。

遺言書を作成することの最大のメリットは、本人が亡くなった後の家族が負担する手続きの手間を減らせる点です。もっとも、一番気を付けないといけないのは、せっかく書いた遺言書が相続手続きに使用できなかったり、遺言書が原因で相続トラブルになることです。

お客様の事情に応じて、⾃筆証書遺⾔か公正証書遺⾔のどちらかを選択して遺⾔書を作成されるかと思いますが、当事務所で推奨しているのは公正証書遺⾔です。公正証書遺⾔であれば形式不備はなく、証明書としての信⽤性も⾼い遺言書になります。

ただし、公正証書遺言を作成する場合でも公証役場がどのような遺⾔内容にしたら良いのかなど、具体的なアドバイスをしてくれるわけではありません。

ご自身で遺言書を作成することにご不安がある方は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することを検討してみてください。

当事務所では、遺言書の文案作成から必要書類の準備、公証役場との調整や証⼈としての⽴会いなど、ご相談から遺言書の作成が完了するまでを⼀括してサポートさせていただきます。

また、相続税の課税が心配な⽅は、ご要望に応じて税理⼠の⽅をご紹介させていただきます。お気軽にご相談ください。

遺⾔書作成業務の内容

ご依頼頂いた場合の当事務所の業務内容は、以下のとおりです。

  • 遺⾔書についてのご相談
  • ⽂案の検討及び作成支援
  • ⼾籍謄本などの必要書類の⼿配
  • 公証役場との打ち合わせ(公正証書遺⾔を作成する場合)
  • 証⼈としての⽴会い(公正証書遺⾔を作成する場合)
    ※証⼈としての⽴会いは、案件の内容やご要望に応じて承ります。

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