相続登記が義務になる?相続登記の義務化と知っておきたいポイント

記事をご覧いただき、ありがとうございます。司法書士の山田武史です。

令和6(2024)年4月1日から相続登記が義務になります。

法改正された令和3年当時、司法書士界隈では話題になりましたが、一般の方には、あまり知られていないようです。

令和4年7月に、法務省が相続登記の義務化について、20代以上の成人男女1200人を対象に認知度を調査したところ、「よく知らない」、「全く知らない」と答えた人は、全体の約 66 %という結果が出ています。

引用元:法務省民事局「相続登記の義務化・遺産分割等に関する認知度等調査

たしかに、「相続登記が義務?」と聞いたところで、ご自身にどういった影響があるのか実感が沸かない方が多いかと思います。

この記事では、令和6年4月1日から開始する相続登記の義務化と知っておきたいポイントをご紹介します。

そもそもの相続登記とは、何ですか?

まず、相続登記が、どんな手続きであるのか簡単にご説明します。

土地、建物、マンションなどを含めた不動産の所有者は、法務局で管理する不動産の登記簿で管理されています。

不動産の登記簿とは、不動産を所有している人の住所・氏名、土地の所在(場所)、地目(種類)、地積(大きさ)、建物であれば構造など、権利関係や物件の状況などが記録された帳簿のようなものです。

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった後に、その不動産の登記簿に記載されている所有者を亡くなった人から相続人等に変更するための手続きのことです。

相続登記を申請して、所有者(相続人等)を確定させなければ、相続した不動産を売却することもできません。

詳しくは、「不動産の名義変更(相続登記)」をご覧ください。

相続登記の義務化と知っておきたいポイント

POINT①いつから義務になるのか

令和6(2024)年4月1日から相続登記の申請が義務になります。

令和6年4月1日以降は、不動産を相続した相続人は相続登記を申請しなければなりません。

令和6年4月1日以前に、相続した不動産の相続登記も対象になります。

過去に相続した不動産でも相続登記を申請していない場合は、令和6年4月1日以降は相続登記を申請する必要があります。つまり、不動産を相続した時期に関係なく相続登記を申請することが義務になります。

なお、遺言書により相続人以外の人が不動産を譲り受ける場合には、相続登記の義務化の対象になりません。

POINT②相続登記の申請に期限が設けられた

相続又は遺言書によって不動産(土地、建物など)を取得した相続人は、その事実を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

具体的には、相続人が以下の2点を知った時から3年以内です。

  • 所有者が死亡した事実
  • 不動産の所有権を取得(相続)する事実
    (例 遺産分割協議や遺言書により不動産を相続したなど)

相続人が被相続人(故人)が死亡した事実を知っただけでは、3年の期限は開始しません。

相続人が相続する不動産(故人所有の不動産)があることを知った時から3年の期限が開始します。

令和6年4月1日以前に相続した不動産は、相続人が「不動産を取得(相続)することを知った日」又は「令和6年4月1日」のいずれか遅い日から計算して3年以内に相続登記を申請する必要があります。

例えば、令和2年4月に親が亡くなっており、その当時は亡親から相続する不動産の存在を知らず、令和6年9月1日に、亡親から相続する不動産があることを相続人が知った場合は、その時から3年以内に相続登記を申請すれば良いことになります。

一方、令和6年4月1日以前から相続した不動産があることを知っており、相続登記を放置していた場合は、令和6年4月1日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

POINT③相続登記を放置したときの罰則

正当な理由がなく3年以内に相続登記を申請せず、放置してしまうと10万円以下の過料の対象になります。過料とは、行政上の義務違反者に対して、金銭の支払いを課す行政罰のことです。

なお、相続登記が申請できないことに正当な理由があれば、過料が科されることはありません。

正当な理由の具体例

  • 相続人が極めて多く、戸籍収集や相続人全員を把握することに時間を要する
  • 遺言の有効性や遺産の範囲等に争いがある
  • 相続人自身が重病等の事情がある など

※正当な理由については、あらかじめ通達等で明確化される予定です。

POINT④期限に間に合わないときの対応方法

相続登記とはいっても戸籍収集や遺産分割協議など、ケースによっては相続人にとって手間や負担が大きいため期限内に申請できないことがあります。

そこで、新たに「相続人申告登記制度」が設けられました。

「相続人申告登記制度」とは

相続人申告登記とは、「不動産の所有者が亡くなったこと」及び「自身が相続人であることを相続人が法務局に申し出る制度です。

相続人申告登記をすることで、一時的に相続登記の義務を果たしたとみなして罰則を免れることができます

ただし、相続人申告登記は、以下の点にご注意ください。

相続人申告登記の注意点

注意点①義務を免れるのは、申出をした相続人のみ

相続人申告登記は、複数の相続人がいる場合でも各相続人が単独で申出することができます。

ただし、相続人申告登記により義務を果たしたことになるのは申出した相続人のみです。申出をしなかった他の相続人は義務を果たしたことになりません。

例えば、A、Bの相続人2名のうち、Bのみが相続人申告登記を申出した場合は、Bは義務を果たせますが、Aに義務は残ります。

複数の相続人がいる場合は、各相続人が個別に申出するか、相続人代表者1人が相続人全員を代理して申出することで相続人全員が義務を果たすことができます。

注意点②相続人申告登記は、本来の相続登記ではありません

相続人申告登記は、不動産の所有者が亡くなったこと、そして、申出人が相続人であることを法務局に知らせることに留まり、本来の相続登記のように不動産の所有権が相続人に移転したことを確定させる手続きではありません。

つまりは、相続人申告登記をした後も法定相続分又は遺産分割協議により、不動産を相続する人を確定して、改めて相続登記を申請する必要があります。

注意点③申告登記後に遺産分割協議をしたら3年以内に相続登記をする

上述したとおり、相続人申告登記の申出をした後も本来の相続登記を申請する必要があります。もっとも、相続人申告登記をした後に相続人間で遺産分割協議がまとまった場合は、協議が成立した日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

この期限内に申請できなければ、10万円以下の過料の対象になります。

相続人申告登記をした後も遺産分割協議により不動産を相続する人を決めた場合は、再度義務が発生しますので、ご注意ください。

なぜ、相続登記が義務化されたのか

これまでは、相続登記を申請するかは任意でしたので、相続登記を放置したとしても罰則などはありませんでした。また、相続人も相続した不動産を売却する時を除いて、相続登記をするメリットを感じず、放置してしまうことがありました。

ただ、近年問題になっているのが、誰が所有者であるか判明しない「所有者不明土地」が増加していることです。

「所有者不明土地」とは?

所有者不明土地」とは、土地を所有している人が誰であるか判明しないだけではなく、判明したとしても所在が把握できず、所有者と連絡が取れない土地のことをいいます。

先程、ご説明したとおり、土地などの不動産の所有者は「不動産の登記簿」で確認できますが、必ずしも現在の所有者が記載されているとは限りません。

これは、相続登記が任意であったため、登記簿に記載されている所有者が実際に生存又は死亡しているのか分からず、所有者が亡くなっていたとしても相続人全員を特定できなかったり、一部の相続人の所在や連絡先が分からず、所有者(相続人)全員を特定できないことがあります。

所有者不明土地は、その土地自体の管理や処分ができないだけでなく、公共事業や都市開発を進める際に、近隣土地の所有者が特定できないため、計画が進まないなど社会問題になりました。

所有者不明土地の多くは、何世代にも亘って相続人が亡くなっていることがあります。

相続人が亡くなると、それに比例して土地の権利(所有権)が次世代の相続人に分散するため、戸籍収集を含めて、土地の所有者(相続人)全員を特定することが困難なケースがあります。

また、一部の相続人の連絡先や所在が判明しなかったり、連絡が取れたとしても土地の管理や処分をする際に相続人全員から協力が得られずに、そのまま放置されてしまうことがあります。

そこで、所有者不明土地問題を未然に予防及び解消することを目的として、令和3年の法改正に伴い相続登記が義務化されることになりました。

まとめ

相続登記の義務化まで、残り1年を切りました。現時点で相続登記していない方も義務化された後は対象になり、期限内に申請できなければ罰則が課される可能性があります。

ただ、長い間放置された相続登記は、通常よりも手続きに手間と時間がかかります。義務化されてから慌てないよう、今の内からなるべく早めに手続きすることが大切です。

ご自身で相続登記することに、ご不安な方は、お早めに司法書士にご相談ください。

次回は、相続登記の義務化に備えて、今の内から確認しておくことや対策方法について、ご紹介したいと思います。

お問い合わせは※こちらまで。

山田武史司法書士事務所 〒107-0062 東京都港区南青山二丁目2番15-1319号
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