記事をご覧いただき、ありがとうございます。司法書士の山田武史です。
この記事をご覧になっている方は、ご自身で遺言書を書いてみようと思われている方や遺言書の書き方についての専門家に依頼することを検討されている方ではないでしょうか。
遺言書の書き方や作成方法は、厳格な要件を満たしていないと法的に無効になったり、相続が発生した後の手続きで使用できないケースも少なくはありません。
本記事では、遺言書を作成する際の注意点と遺言書の作成を専門家に依頼することのメリットについて解説致します。
このページの目次
相続対策で作成する遺言書は、主に2種類に分けられる
遺言書といっても、いくつかの種類に分けられます。ただ、広く一般的の方に利用・作成されている遺言書は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。
まずは、各遺言書の概要についてご説明いたします。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言書を書く本人の自筆により作成する遺言書のことです。
自筆証書遺言の概要は以下のとおりです。
- 遺言書の全文を自筆で書く
※遺言書に記載する財産目録などはワードなどで作成しても大丈夫です。
ただ、ページごとに署名押印が必要になります。 - 遺言書を作成した日付を明確に記載すること
- 遺言書を書いた本人の氏名を署名する
- 印鑑で捺印をする。
※押印は認印でも大丈夫ですが、実印の方が証明書としての信頼性が高まります。 - 遺言書を作成した人が亡くなった後に遺言書の検認が必要。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、自筆証書遺言とは作成方法が異なり、公証役場にて証人2名以上の立会いのもとで、公証人の面前で作成する遺言書になります。
公正証書遺言の概要は以下のとおりです。
- 公証役場にて公証人の面前で作成する遺言書
- 公証人が遺言内容を遺言者本人に口述して作成する
※聴覚や言語に障害のある方でも手話や通訳、筆談により作成することもできます。 - 遺言書を作成する際に証人2名の立会いが必要
- 遺言者本人と証人が遺言内容を承認したうえで、各自が署名捺印し公証人が認証する。
- 自筆証書遺言とは違い、遺言書を作成した本人が亡くなった後の検認が不要。
その他、詳しくは「知っておくべき遺言書の種類」をご覧ください。
遺言書を作成する際の注意点
自筆証書遺言を作成する際の注意点
自筆証書遺言を作成する際の注意点は、以下のとおりです。
遺言書の全文を本人が自筆で書くこと
遺言書に記載する内容の一部でも親族や第三者に代筆すると自筆証書遺言自体が証明書として無効となります。もっとも前述したとおり、遺言書に記載する財産についての財産目録はパソコンのワードで作成したり、銀行通帳のコピーや不動産の登記簿謄本を添付してもかまいません。ただし、添付する各書面には、遺言書を作成する本人の署名押印が必要になります。
遺言書の作成日は明確にすること
遺言書を作成した日付は明確に書く必要があり「○月吉日」など、日付が特定できないと遺言書としては無効となります。
遺言書を作成した本人が署名・押印をすること
遺言書には、作成した本人の署名と押印が必ず必要になります。署名と押印がない遺言書は無効となります。
本人の意思に基づいて遺言書を作成すること
本人の自筆で書かれた遺言書であっても、第三者に強要されて書かされたり、本人の意思能力に疑いがあるときに作成された遺言書は無効になる可能性があります。
例えば、遺言書を作成した時期に、既に本人が認知症を発症していたり、判断能力に疑いがあったりする場合は、本人の意思に基づかず第三者が書かせたと疑われてしまい結果として遺言書自体が無効になる可能性が高くなります。
公正証書遺言を作成する際の注意点
公証人の手数料など費用が掛かる
公証人に支払う手数料は法令で決まっており、どの公証役場に依頼しても金額は同じです。ただし、遺言書に記載する財産の価額等や遺言書の枚数によって支払う費用の額が変動します。また、遺言書を作成する際の証人をご自身で手配出来ない場合は、公証役場に依頼して手配してもらうこともできますが、その際に証人に支払う日当などの費用が発生します。
公証人に遺言内容の相談はできない
公証人ができることは遺言書の作成です。つまり、遺言書に書く内容が相続が発生したときに相続人間でトラブルが起きないか等の相談をすることはできません。
例えば、遺言書に書いた内容が相続人の遺留分を侵害していないか、相続が発生した後に相続人間でトラブルが起きないかなど、必ずしも遺産相続の際にトラブルが発生しないことを保証されるとは限りません。
遺言書の作成を専門家に依頼するメリット
遺言書は、専門家に依頼せずに作成することはできます。ただ、遺言書は作成するだけではなく、相続が発生した際に、相続手続きに使用できる文面であることはもちろんですが、相続人同士で争いが起きないよう遺言書に記載する内容や文言は、慎重に検討する必要があります。
そして、司法書士などの専門家に遺言書の作成を依頼するメリットとしては、相続に備えた対策のために、どのような内容の遺言にしたらよいのか総合的な相談ができることです。また、遺言書に記載する財産の中に不動産が含まれている場合は、相続が開始した後に相続登記を行う必要があり、遺言書に記載する文言によっては、相続登記に使用できないケースもあります。
司法書士に遺言書の作成を依頼することで、相続が発生した後の相続登記を含めた相続手続きを想定した内容の遺言書の作成を依頼することができます。
遺言書は作成するだけではなく、相続が発生した後に効果を発揮する書面となりますので、司法書士などの専門家に依頼して作成することをお勧めします。
まとめ
記事を最後までご覧いただき、ありがとうございます。
本記事でお伝えしたかったことは、遺言書の作成は形式的な面が整っているだけではなく、遺言書の内容が相続が発生したときに効果的がどうか大切ということです。
遺言書の文面やフォーマットは、ネット上に掲載されているものもありますが、全ての人にとって最適な内容であるとは限りません。
遺言書の内容によっては、相続人同士の争いの原因になるケースもあります。相続が発生した時にトラブルなく、円滑に手続きを進めたいと希望される方は専門家に相談して作成することをお勧めします。
当事務所でも遺言書の内容を含めた作成のサポートを承っております。
お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
お問い合わせはこちらから(お問い合わせフォーム)
山田武史司法書士事務所
〒107-0062 東京都港区南青山二丁目2番15-1319号
TEL 03-6434-0717 FAX 03-6434-0727