期限のある相続手続きについて

記事をご覧いただき、ありがとうございます。港区の司法書士山田武史です。

皆様は、相続手続きに期限があることをご存じでしょうか。もっとも全ての相続手続きに期限があるわけではありません。ただし、期限の定めがある手続きには、相続人の方にとって直接影響のあるものが多くあります。

初めて「相続」をご経験される方の中には、何から手を付ければ良いのか分からず、期限があることをご存じない方もおられます。

本記事では、期限が定めれている相続手続きを時系列順にご紹介します。

相続手続きの時系列と期限

被相続人(故人)の死亡

死亡届(7日以内)

相続放棄・限定承認の選択(3か月以内)

準確定申告(4か月以内)

相続税の申告と納付(10か月以内)

生命保険金の請求(3年以内)

相続登記の申請(3年以内)※令和6年4月1日以降

死亡届(7日以内)

死亡届とは、ご家族が亡くなった事実を区役所に知らせる手続きのことです。

死亡届は、ご家族が死亡した事実を知った時から7日以内に亡くなった方(又は届出人)の住所又は本籍地の市区町村役場に提出する必要があります。

死亡届には、「死亡診断書(死体検案書)」が必要になりますので、医師に書いてもらうようにしましょう。

期限を過ぎたら5万以下の過料が科される可能性がある

正当な事由なく期限内に、死亡届を提出できなかった場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。ただ、一般的には、ご家族が直接提出することはなく、葬儀や火葬を代行する葬儀会社が火葬許可証の取得の際に、ご家族に代わって死亡届を提出します。

相続放棄・限定承認(3か月以内)

「相続」と聞くと、故人から財産を引き継ぐことをイメージされる方は多いかと思います。ただし、法律上は、故人から財産を引き継ぐ以外にも「相続放棄」と「限定承認」のどちらかを選択することができます。

選択できるのは、「相続の開始を知った日から3か月」

「相続放棄」又は「限定承認」を選択できるのは、「相続の開始を知った日から3か月」です。「相続の開始を知った日とは」、相続人が「故人(被相続人)が死亡した事実」と「自身が相続人になること」を知った日のことです。

一般的には、故人が死亡した事実をご家族(相続人)が知った日から計算します。ただし、例外として、故人が死亡した事実を知った日から3か月以上経過している場合でも期間を繰り延べて計算できるケースもあります。

詳しくは、「3か⽉経過後の相続放棄について」をご覧ください

相続放棄とは

相続放棄とは、相続人としての地位や権利を相続人自ら手放すための手続きです。

故人が生前に借金をしていた場合は、相続人が返済する義務を引き継ぎます。相続放棄をすることで、始めから相続人ではなくなるので、故人が残した借金を相続人が返済する必要も無くなります。

詳しくは、「相続放棄とは」をご覧ください

限定承認とは

限定承認とは、故人が残したプラスの財産(預貯金・不動産など)の範囲に限定して、マイナスの財産(故人の借金)を相続人が引き継ぐという方法です。

故人が残した財産の内訳を把握することが出来す、マイナス財産の方が大きいのか判断ができない場合は限定承認を選択するケースともいえます。

詳しくは、「相続の⽅法と注意点」をご覧ください

期限を過ぎたら「相続」することになる

相続の開始を知った日から何もせず、3か月を経過すると「相続する」ことになります。

特にご注意頂きたいのが故人が借金をしていることを相続人自身も把握したまま何もせず3か月間放置してしまうと相続人が自動的に借金を負担することになります。

故人が借金をしていた形跡がある場合や故人が借金をしていたことが判明した場合は、期限に間に合うよう相続放棄の申立てを準備をしましょう。

準確定申告(4か月以内)

準確定申告とは、故人の確定申告を相続人が代わりに行うことです。準確定申告は、相続の開始(通常は被相続人が死亡した日)から4か月以内に、故人の住所地を管轄する税務署に申告する必要があります。

例えば、故人に所得(事業所得・不動産所得・給与所得など)があり、所得税の納付が必要な場合は、相続人が代わって税務署に申告しなければなりません。ただし、故人が会社員であった場合や所得が一定以下(年金受給額が400万円以下、その他所得が20万円以下)の場合は、準確定申告の手続きは不要です。

※詳細については、お近くの税務署又は専門家である税理士にご相談ください。

期限を過ぎたら「加算税」や「延滞税」が科される可能性がある。

申告期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税といった税金を追加で徴収される可能性があります。相続が発生した後は、なるべく早めに準確定申告が必要かどうか確認するようにしましょう。

相続税の申告と納付(10か月以内)

相続税の申告や納付は、相続開始を知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内に、故人の住所地を管轄する税務署に申告しなければなりません。

相続税とは、相続人が故人の財産を引き継ぐときに課税される税金になります。もっとも財産を相続したからといって必ず相続税が課税されるとは限りません。

相続税が課税される基準は、基礎控除額(3,000万円+相続人の人数×600万円)を超える場合です。故人の財産が基礎控除を超える場合は、相続税の申告を踏まえてスケジュールを立てる必要があります。

期限を過ぎたら「加算税」や「延滞税」が科されるだけではなく、各種控除や特例(税額の軽減)が受けられなくなる。

期限が過ぎた後に相続税を申告すると加算税や延滞税といった税金が追加で徴収されるだけではなく、「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」などの相続税を減らすための特例を受けられなくなります。

また、申告期限が迫っている時期に専門家である税理士に依頼するとしても通常の報酬とは別に費用が加算されてしまったり、依頼を断られてしまうこともあります。相続税が課税される方は、なるべく早めに税理士に依頼することを検討してみてください。

生命保険金の請求(3年以内)

故人が生命保険に加入していた場合は、保険会社に請求することで保険金を受け取ることができます。ただし、生命保険金の請求にも期限があります。一般的な保険会社では相続の開始から3年、かんぽ生命は5年以内に請求する必要があります。

期限を過ぎたら時効により保険金を受け取れなくなる可能性がある。

期限内に請求できなければ、生命保険金を受け取るための権利が時効により消滅します(保険法第95条)。ただ、実際には期限が経過した後に保険金を請求したとしても保険会社が応じてくれることが多く、事前に保険会社に問い合わせて確認してみましょう。

相続登記の申請(3年以内)

令和6(2024)年4月1日から相続登記の申請に期限が設けられます。相続登記の申請期限は、相続人が故人から相続する不動産があることを知った日から3年以内です。

期限を過ぎたら10万以下の過料が科される可能性がある。

期限内に相続登記を申請できなければ、10万円以下の過料が科される可能性があります。ただし、期限内に申請できないことに正当な理由があれば過料は科されません。

また、どうしても期限に間に合わないときは、法務局に「相続人申告登記」を申出(申請)することで、一時的に過料を免れることもできます。

相続登記の申請期限については、以下の記事もご覧ください。

相続手続きにお困りの方は、早めに専門家に相談してください!

相続手続きに困ったり、ご不安な方は、一度専門家に相談することをお勧めします。

始めは、ご自身で手続きしようと思っても実際には集める書類の量が多く、行う手続きが多岐に亘るため途中で挫折してしまう方も少なくありません。

また、本記事でご説明したとおり、相続手続きには期限が定められているものがあり、そのまま放置してしまうと相続人の方にとって直接デメリットに繋がる手続きが多くあります。また、一度期限が過ぎてしまうと専門家に相談しても取り返しがつかないことがあります。

相続手続きに少しでも迷いやご不安がある方は、なるべく早めに司法書士や税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

まとめ

当事務所では、相続手続きに関するご相談を初回は無料で承っております。

当事務所では、相続手続きを一括してご依頼頂くことや不動産の相続登記、預貯金の解約・払戻などの一部の手続きに限定してご依頼頂くことも可能です。また、ご要望に応じて、税理士などの他の専門家をご紹介させて頂くこともできます。

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