亡くなった人の住所が分からない!そんなときの相続放棄手続き

記事をご覧いただき、ありがとうございます。司法書士の山田武史です。

相続放棄は、亡くなった人(被相続人)が死亡した時の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てる必要があります。

ただし、亡くなった人が何世代も前の相続放棄では、亡くなった人が死亡した時の住所地が判明しないことがあります。

そこで本記事では、亡くなった人の死亡時の住所地を調べる方法と死亡時の住所地が判明しない場合の相続放棄の手続きについて解説いたします。

相続放棄の申立先とは

まず、始めに相続放棄の申立先である家庭裁判所について確認しましょう。

相続放棄の申立先の家庭裁判所には、決まりがあります。

それは、亡くなった人(被相続人)が死亡した時の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

全国のどこの家庭裁判所に申立てをしても良いわけではありません。

したがって、相続放棄をしたい場合は、まず、亡くなった人が死亡した時の住所地を調べる必要があります。

亡くなった人が死亡した時の住所の調べ方

亡くなった人と生前に交流があれば、死亡した時の住所を調べることは容易かもしれません。

もっとも、生前にほとんど交流がなかった場合やどこに住んでいたのかまったくわからないケースもあります。

そこで、亡くなった人が死亡した時の住所を調べる方法から解説いたします。

亡くなった人が死亡した時の住所は、以下に記載する3つの証明書を取得することで判明します。

住民票の除票を取得する

住民票の除票(じゅうみんひょうのじょひょう)とは、居住地などに住民登録している方が死亡すると、住民票にその人が死亡した旨が記載されて、住民票から消除されます。その住民票のことを「住民票の除票」といいます。

住民票の除票には、亡くなった人が死亡した時の住所が記載されています。

したがって、住民票の除票を取得することで相続放棄の申立先である家庭裁判所が判明することになります。

ただし、住民票の除票を取得するには、亡くなった人の住所を把握していなければ取得できません。

また、住民票の除票には保存期間があり、平成26年3月31日以前に消除された住民票は、消除された日から5年間を経過すると廃棄されてしまいます。

(※もっとも住民基本台帳法施行令の一部改正により、平成26年6月20日以降に消除(又は改製)してから、令和元年6月20日以降に5年を経過している除票については、150年間に保存期間が延長されました。)

戸籍の附票を取得する

戸籍の附票(こせきのふひょう)とは、本籍地で取得できる戸籍と同じく、その本籍地に転籍(入籍)してから現在(死亡)に至るまでの住所が記録された証明書のことです。

住民票の除票と同じく、戸籍の附票には、亡くなった人が死亡した時の住所が記載されています。

したがって、住民票の除票以外にも戸籍の附票を取得することで、相続放棄の申立先である家庭裁判所が判明することになります。

もっとも戸籍の附票を取得するには、亡くなった人が死亡した時の本籍地を調べる必要があり、相続人であれば、ご自身の戸籍を取得していくことで、亡くなった人の本籍地が判明することになります。

また、「戸籍の広域交付制度」を利用することで、本籍地以外の市区町村でも戸籍を取得することができます。まずは、相続人自身の戸籍を取得して、亡くなった人の戸籍を取得することから始めてみましょう。

ただし、戸籍の広域交付制度を利用しても、ご自身の兄弟姉妹や伯父(叔父)、伯母(叔母)の戸籍等は取得できません。また、「戸籍の附票」も広域交付制度で取得することができません。

つまり、亡くなった人(被相続人)がご自身の兄弟姉妹や伯父(叔父)、伯母(叔母)の場合は、従来どおり、亡くなった人の本籍地で戸籍や戸籍の附票を取得する必要があります。

参考記事:「令和6年3月1日から始まる「戸籍の広域交付制度」について

また、戸籍の附票も住民票の除票と同じく、保存期間があるため、亡くなった人の死亡した時期によっては、取得できないことがあります。

戸籍(死亡届)の記載事項証明書を取得する

戸籍の記載事項証明書とは、出生、婚姻、死亡等、戸籍に記載される内容について届出がされたことの証明書のことです。死亡届出であれば、死亡届出書の写しが該当することになります。

死亡届等は、亡くなった人の本籍地の市区町村役場で保管された後に、その市区町村を管轄する法務局又は各支局に送付された後、一定期間(届出から原則27年間)の間、保管されることになっています。

戸籍の記載事項証明書(死亡届の記載事項証明書)を取得することで、亡くなった人が死亡したときの住所が判明することになります。

戸籍の記載事項証明書の請求先は、原則として本籍地を管轄する法務局になります。

東京都内に、亡くなった人の本籍地がある場合は、以下のとおりです。

本籍地(市区町村名) 管轄の法務局
東京23区,大島町,利島村,新島村,三宅村,神津島村,御蔵島村,八丈町,青ヶ島村,小笠原村 東京法務局(本局)
戸籍課
八王子市,立川市,昭島市,町田市,日野市,東大和市,稲城市,武蔵村山市,多摩市 八王子支局
戸籍課
武蔵野市,三鷹市,府中市,調布市,小平市,小金井市,東村山市,国分寺市,国立市,西東京市,狛江市,清瀬市,東久留米市 府中支局
戸籍課
青梅市,福生市,羽村市,あきる野市,奥多摩町,瑞穂町,日の出町,檜原村 西多摩支局
総務課

※令和6年3月からは、戸籍の記載事項証明書等の請求先が変わりました。

令和6年3月以降に提出された戸籍届書(出生、婚姻、死亡等の届出)についての記載事項証明書は、届出書を提出した市区町村役場で保管されることになり、 戸籍届書の記載事項証明書の請求先は、本籍地の市区町村役場に対して行うことになります。

請求するには理由と利害関係があることが必要

戸籍の記載事項証明書を請求するには、一定の利害関係があり、特別の事由がある場合に限って、証明書を請求することができるとされています(戸籍法第48条第2項)。

相続放棄する相続人も利害関係があり、相続放棄することが特別な理由に該当することになります。ただ、実際に請求する際は、管轄の法務局や市区町村役場に事前に確認するようにしましょう。

各種証明書が取得できない場合の対応方法

上述した3つの証明書を取得することで、亡くなった人が死亡した時の住所が判明することになります。ただし、各種証明書には、保存期間があり事案によっては証明書を取得できないことも少なくありません。

特に、何世代も前の親族が被相続人となるケースでは、亡くなった日から何十年と経過していることもあり、住民票の除票や戸籍の附票、戸籍の記載事項証明書も取得できないことがあります。

証明書が取得できず、亡くなった人の住所が判明しない、もしくは不明な場合でも相続放棄を申し立てることはできます。

そういったケースの場合、相続放棄の申立先は、東京家庭裁判所になります

ただし、東京家庭裁判所に相続放棄を申立てる際は、住民票の除票や戸籍の附票が廃棄されている証明書(廃棄証明書)や各種証明書が取得できないこと、住所を調査しても知る手段がないことを書面にまとめた上申書(調査報告書)を作成して、申述書と一緒に提出する必要があります。

亡くなった人の死亡した時の住所を知る手段がなかったとしても、相続放棄を申し立てることはできるので、どのような書面を提出すればよいのか判断がつかない方は、司法書士などの専門家に相談して手続きを進めることをお勧めいたします。

亡くなった人の住所が判明しない場合は、当事務所にご相談ください。

当事務所では、相続放棄の手続きをサポートしております。これまで受任した事案の中にも亡くなった人の住所が判明せず、どこに申立てをすればよいのか分からず、当事務所にご相談に来られる方もいました。

そういった事案でも当事務所では、相続放棄が受理された実績があります。

あなた自身が相続人となり、亡くなった人の住所が判明せず、ご自身で相続放棄をすることが難しいと思われる場合は、当事務所にご相談ください。

お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

山田武史司法書士事務所 
〒107-0062 東京都港区南青山二丁目2番15-1319号
TEL 03-6434-0717 FAX 03-6434-0727

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