記事をご覧いただき、ありがとうございます。港区の司法書士山田武史です。
突然ですが、皆さんは、法務局から下記の通知(お知らせ)を受け取ったご経験はあるでしょうか。
【通知書のサンプル】※画像をクリックすると拡大表示されます。
引用元:東京法務局「長期間にわたり相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)について」
通知書を受け取った方の中には、驚かれたり、詐欺を装った文書だと疑って無視している方もいるのではないでしょうか。
先に結論を申し上げると、この通知書を受け取った方は、土地を相続する相続人です。
本記事では、この通知書が何のために送られてきたのか、受け取った後にどのような対応が必要なのか解説いたします。
このページの目次
何のために送られてくるのか
この通知書は、詐欺を装った怪しい文書ではありません。
この通知書は、相続登記の申請を促すために、法務局から不動産の亡所有者の相続人に対して送られるお知らせ(通知書)になります。
つまり、この通知書を受け取った方は、土地の所有権を相続する相続人であるため相続登記の手続きを行うことになります。
なお、法務局がこの通知書を介して金銭の振込みを依頼したり、要求することは一切ありません。※金銭の振込みや支払いを要求する内容の場合は、詐欺の可能性がありますのでご注意ください。
【法務局は、どうやって相続人を把握したのか】
平成30年に施行された「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」により、現在は、所有者が亡くなった後、相続登記を一定期間放置している土地については、法務局が独自に戸籍を調査し、調査により判明した相続人に対して、相続登記を促すための通知書を発送する取り扱いになっています。
通知書を受け取った後に、確認すべきこと
他に相続人がいないか確認する
通知書を受け取った方は、まず、ご自身以外にも相続人がいないか確認します。
法務局が調査した結果、土地を相続する相続人が複数名いることが判明した場合は、任意で選択した相続人1名に通知書が送られます。したがって、通知書を受け取った方以外にも相続人がいないか確認します。
「法定相続人情報」を取得する
他に相続人がいないか確認するために、「法定相続人情報」を取得します。
法定相続人情報とは、法務局が相続人を調査した結果をまとめた家系図のようなものです。なお、法定相続人情報の取得には、通知書に記載されている「法定相続人情報の作成番号」が必要になります。通知書は、破棄せずに保管してください。
法定相続人情報の取得方法は、以下のとおりです。
土地の登記簿謄本を取得する
相続人の確認と併せて、相続登記の対象となる土地の登記簿謄本を取得します。
取得対象の土地は、通知書の「不動産番号及び不動産所在事項」欄に記載されています。
※土地の登記簿謄本は、土地の所在地に関わらず、最寄りの法務局で取得できます。
土地の登記簿謄本には、以下の記載がされています。
記載例①相続人全員の特定が完了している場合
記載例②相続人の一部が判明しない場合
引用元:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(平成30年11月15日付け法務省民二第612号民事局長通達) (PDF形式 : 104KB)
確認した後に、相続人が行う手続き
相続登記を申請する
土地を相続する相続人と相続登記の対象になる土地を確認した後は、相続登記を申請することになります。
相続登記の大まかな流れは以下のとおりです。
※相続人等の戸籍謄本を集める必要はありません。
詳しくは、「不動産の名義変更(相続登記)」をご覧ください。
※ご自身で手続きすることが難しいと感じた方は、当事務所又はお近くの司法書士事務所にご相談ください。
相続登記以外の方法
相続登記を申請する以外の方法としては、「相続放棄」をすることも検討します。
相続放棄とは、相続人としての権利や地位を手放すための手続きのことです。
相続放棄をすることで、土地を相続することも無くなるので相続登記の申請に関わる必要がなくなります。ただし、相続放棄には3か月という期限や要件がありますので、司法書士などの専門家に一度相談することをお勧めします。
詳しくは、「相続放棄とは」をご覧ください。
既に「相続放棄をされている方」
既に相続放棄している方でも通知書が届いたり、法務局が作成した法定相続人情報に記載されることになります。
というのも既に相続放棄をしていたとしても法務局がその事実を把握することはできません。したがって、既に相続放棄している方は、法務局に連絡してその旨を伝えるようにしましょう。
通知書を受け取った方に、知って頂きたいこと
「通知書」を受け取ったとしても相続登記の申請が強制されるわけではありません。また、現時点(令和5年6月時点)では、何もせず放置していたとしても罰則はありません。
ただし、令和6年4月1日からは「相続登記が義務」になり、義務化された後も同様に通知書が届くことになります。ただし、義務化された後の通知の意味は、少し異なります。
つまり、義務になるということは、その義務を怠り放置してしまうと罰則があるということです。具体的には、通知を受け取った後に、一定期間放置してしまうと10万円以下の過料が科されることになります。
この通知書を受け取った方は、今の内から相続登記を終わらせることを強くお勧めします。
当事務所が相続登記の手続きを一括してサポートします。
当事務所では、相続登記に関するご相談・ご依頼を承っております。
当事務所は、相続登記のオンライン申請(電子申請)に対応しております。
相続した不動産が遠方にある場合や地方にお住いの方でも電話やZOOMなどを利用してお打ち合わせさせて頂き、相続登記の手続きを当事務所が代行して手続きいたします。
最近では、相続登記の義務化に備えて、相続登記を完了させたいとお客様からご相談やご依頼を頂く機会が増えてきております。
あなた自身が通知書を受け取られて、相続登記の手続きに不安を感じるときは、当事務所までお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら(お問い合わせフォーム)
山田武史司法書士事務所
〒107-0062 東京都港区南青山二丁目2番15-1319号
TEL 03-6434-0717
FAX 03-6434-0727