相続について司法書士に頼めること

記事をご覧いただき、ありがとうございます。司法書士の山田武史です。

相続が発生して、相続人として手続きが必要になったときに、どこに相談すればよいのか、どの専門家に依頼すれば良いのか迷われている方もいます。

弁護士・司法書士・行政書士・税理士など、相続手続きの内容に応じて、各専門家が対応できる業務は異なります。

そこで、本記事では「相続」に着目して、司法書士に相談できることをご紹介いたします。

あなた自身が相続人となり、どの専門家に相談・依頼しようか迷われているのであれば、参考にしてみてください。

司法書士ができる相続手続き

相続が発生したときに、相続人が行う手続きには、遺産分割協議や預貯金・不動産の名義変更など様々な手続きを行う必要があります。

そして、司法書士は、相続人から依頼を受けて、多くの相続手続きを業務として行うことができます。

以下に、司法書士ができる相続手続きを記載いたします。

戸籍収集など相続人の調査

相続が発生したときに、始めに行う手続きが相続人の調査です。相続人の調査を行い、亡くなった人の財産を誰が相続するのか確定させなければなりません。

相続人の調査方法は、亡くなった人の死亡から出生まで繋がりが取れる戸籍の収集を行うことです。ただ、戸籍は集めるだけではなく、取得した戸籍を読み取り、婚姻、離婚、子の認知、養子縁組などがないか慎重に調査を行い、相続人を正確に特定する必要があります。

戸籍を収集する時間がない方や戸籍の読み取りに不安を感じる方は、始めから司法書士に相談・依頼してみてください。

詳しくは、「相続人の調査について」もご覧ください。

相続財産の調査

相続人の調査と並行して行うのが相続財産の調査です。相続財産とは、亡くなった人が所有していた財産であり、相続人が相続(承継する)財産のことです。

相続人が亡くなった人から相続する財産は、不動産や預貯金などのプラスの財産だけではなく、借金などのマイナス財産も含まれます。また、相続財産の総額によっては、相続税が課税される可能性もあります。

相続財産の調査を行い、借金の方が多ければ、後述する相続放棄の選択材料にもなりますし、相続財産が多額であれば相続税の申告期限までのスケジュールが立てやすくなります。

相続財産の調査は、相続人からの依頼により司法書士が行うことができます。

相続人となり、何から始めれば良いのか迷われている方は、司法書士に相談・依頼することをお勧めします。

詳しくは、「相続財産調査」もご覧ください。

相続放棄の申立書類作成

相続人になったとしても相続したくないとお考えの方もいます。亡くなった人が借金をしていた場合は、相続人として借金を引き継ぐことになります。また、亡くなった人とは生前に交流がなかったり、一度も会ったことがなく、面識のない方の相続人になったときは、手続きに関わりたくないと思われる方もいます。

相続人であっても相続したくないときは、「相続放棄」をすることもできます。

相続放棄とは、相続人としての地位や権利を手放す手続きのことです。

相続放棄をすることで亡くなった人の財産を相続することもなく、相続手続きに関わる必要も無くなります。

ただし、相続放棄には期限があり、相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申立を行う必要があります。

もっとも、相続の開始を知った日から3か月が経過してしまった場合にも事情説明書(上申書)を作成することで、相続放棄が認められる可能性があります。

そして、司法書士は、相続放棄の申立てに必要なこれらの書類作成にも対応できます。

相続放棄したいと望まれる場合は、なるべく早めに司法書士に相談・依頼することをお勧めします。

詳しくは、「相続放棄とは」をご覧ください。

遺言書の検認申立書類の作成

亡くなった人が「自筆証書遺言」を作成していた場合は、家庭裁判所の検認が必要になります。

「検認」とは、自筆証書遺言書を証拠として保全する手続きのことです。

検認が必要な遺言書は、自筆証書遺言に限られます(※法務局に自筆証書遺言を保管している場合を除く)。自筆証書遺言は、そのままでは相続手続きに使用することはできず、家庭裁判所の検認手続きを行った後で、初めて相続手続きに使用できるようになります。

司法書士は、家庭裁判所に提出する申立書や戸籍謄本などの必要書類の収集を手続きとして行うことができます。

検認手続きは、日数がかかることもあるので速やかに手続きを終わらせたい方は、司法書士に依頼することをお勧めします。

詳しくは、「遺⾔書の検認について」をご覧ください。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議とは、複数の相続人がいる場合に、相続人全員で遺産の分け方を話し合うことです。そして、その話し合いの結果を書面にしたものが、遺産分割協議書になります。

そして、遺産分割協議は専門家に依頼せずとも相続人自身で作成することもできます。ただ、遺産分割協議書は、相続手続きに使用できるよう作成しなければならず、特に相続する財産の中に、不動産がある場合は、所在・地番・家屋番号などを正確に記載する必要があります。

遺産分割協議書には、相続人全員の実印による押印が必要になり、その内容に不備があると、訂正印を押したり、再度作成して押印を貰い直す必要があったりもします。

また、一部の相続人が作成した遺産分割協議書に不信感があり、専門家に依頼して公平な立場から書面を作成してほしいというご相談も頂くことがあります。

遺産分割協議書の作成に不安がある方や相続人全員にとって公平な立場から手続きをしてほしいと望まれる方は、司法書士の相談・依頼して作成した方がよいでしょう。

詳しくは、「遺産分割協議書の作成について」をご覧ください。

相続登記の手続き(不動産の名義変更)

亡くなった人が不動産を所有していた場合は、その不動産の名義を変更する必要があり、相続登記の申請が必要になります。

相続登記は、専門家に依頼せず相続人自身で手続きすることもできます。申請書作成方法や必要書類なども法務局に相談(事前予約制)することもできます。

ただ、相続登記は申請するだけではなく、相続登記の対象になる不動産の調査も必要になります。固定資産税が課税されない私道(道路)などは、相続登記の申請漏れの対象になりやすく、相続登記が何年も放置されてしまっているケースも多々あります。

また、亡くなった人が複数の不動産を所有していた場合や、不動産の名義が亡くなった人ではなく、何世代も前の方の名義(ex.祖父、曾祖父名義)の場合、相続登記の手続きが複雑になる傾向にあります。

相続登記を代理で申請できるのは、司法書士と弁護士のみです。ただ、弁護士の方でも登記手続きに慣れている方は少なく、実際に登記手続きに精通している専門家は司法書士になります。

司法書士は、相続人の調査だけではなく、相続登記の対象になる不動産の調査から管轄の法務局への申請まで一括して手続きをすることができます。相続した財産の中に不動産がある方は、始めから司法書士に依頼する方が安全かつ確実です。

詳しくは、「不動産の名義変更(相続登記)」をご覧ください。

預貯金の払い戻し・有価証券などの名義変更

亡くなった人の財産に預貯金がある場合は解約・払戻しの手続きが必要になります。ここで注意が必要したいのが、亡くなった人の口座がある金融機関に、口座名義人が死亡したことを伝えると口座凍結されてしまうことです。つまり、口座から現金を引き出すことができなくなります。

口座凍結を解除するには、銀行所定の相続手続きが必要になります。

また、亡くなった人が株式などの有価証券を保有していた場合は、相続人への名義変更手続きが必要になります。

あまり知られていないようですが、預金口座や有価証券の相続手続きは司法書士に依頼することもできます。

預金口座や有価証券の相続手続きのみを依頼することもできますし、相続財産全般の手続きを一括して代行してもらいたい方は、司法書士に相談・依頼することも検討してみてください。

詳しくは、「預金口座の相続について」・「株式・有価証券の相続手続き」をご覧ください。

相続手続きを司法書士に依頼するケース

これまで、弊社が受任した相続手続きになりますが、司法書士に相続手続きを相談・依頼するべきケースとしては、以下が挙げられます。

  • 相続財産に不動産がある
  • 相続人が多数となり、書類を取りまとめるのが大変
  • 疎遠の相続人がいる
  • 一部の相続人が遠方に住んでいる
  • 亡くなった人に借金があったので相続放棄したい
  • 相続登記を放置している不動産がある
  • 相続手続きを何から始めれば良いか分からないので、とりあえず相談したいなど

反対に、司法書士が受任できないケースとしては、遺産の分け方について相続人間で争いがある場合や相続した財産に相続税が課税される場合の相続税の申告です。もっとも相続税の申告については、ご要望に応じて税理士の方をご紹介させていただくこともできます。

まとめ

記事を最後までご覧いただき、ありがとうございます。

司法書士は、裁判所に提出する書類の作成や法務局に対する登記申請の代理などが主な業務になりますが、一般の方からすると司法書士がどういった手続きができるのか、相続手続きでどこまで対応できるのかご存じない方も多いかと思います。

もっとも、どの司法書士事務所に依頼するかは、費用やその司法書士との相性もあるかと思います。

あなたが相続人となり、相談先を迷われている場合は、一度司法書士事務所に相談してみて依頼するかどうか検討してみてください。

当事務所は司法書士事務所です。また、相続登記に関わらず、相続手続き全般の業務に対応しております。また、税理士など他の専門家をご紹介させて頂くこともできます。

相続についての初回相談は無料で承っております。お気軽にご相談ください。

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