記事をご覧いただき、有難うございます。港区の司法書士山田武史です。
亡くなった方が家族の誰にも知らせずに生命保険に加入していることがあります。
ただ、家族がその事実を知らなければ、保険会社から生命保険金を受け取ることはできません。
そこで、「生命保険契約照会制度」を利用することで、故人が、どの保険会社と生命保険契約を結んでいたのか、契約の有無を調べることができます。
本記事では、生命保険契約照会制度の手続きについてご説明します。
このページの目次
「生命保険契約照会制度」とは
生命保険契約照会制度とは、全国の生命保険会社(42社)が加入している「一般社団法人生命保険協会」という団体に、亡くなったご家族が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を調べてもらうことができる制度のことです。
ただし、照会の結果、「生命保険協会」から開示されるのは、生命保険契約の有無のみなので、具体的な保険契約の内容については、個別に保険会社に確認する必要があります。
- 財形保険契約
- 財形年金保険契約
- 既に支払いが開始した年金保険契約
- 保険金等が据え置きとなっている保険契約
照会制度を利用できる条件
生命保険契約照会制度は、ご家族が亡くなったとき以外にも下記の状態になったときに利用できます。
- ご家族が死亡したとき
- ご家族が認知症等により、判断能力が低下したとき
- ご家族が災害により死亡または行方不明になったとき
照会制度を利用できる人
生命保険契約照会制度を利用できる人は、次の方です。
ご家族が死亡したとき
- 相続人
- 相続人の法定代理人(相続人が未成年の場合の親権者など)
- 相続人の任意代理人(相続人から委任をされた弁護士、司法書士、行政書士)
- 遺言執行者
- 遺言執行者の任意代理人(遺言執行者から委任された弁護士、司法書士、行政書士)
【必要書類】
- 照会申請する人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 法定相続情報一覧図
※法定相続情報一覧図については、こちらをご覧ください。 - 照会対象者の死亡診断書
※照会対象者とは、亡くなられた方のことです。 - 委任状(照会申請を弁護士、司法書士、行政書士に委任するとき)
- 利用料3,000円
ご家族が認知症等により、判断能力が低下したとき
- 法定代理人(法定後見人・任意後見人など)
- 本人の健常時に委任を受けた任意代理人(弁護士、司法書士、行政書士)
⇒※既に法定代理人(後見人等)が選任されている場合は請求できません。 - 3親等内の親族
- 3親等内の親族の任意代理人(弁護士、司法書士、行政書士)
【必要書類】
- 法定代理権・任意代理権等の確認書類(後見登記事項証明書等)
- 照会する人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 照会対象者の診断書(生命保険協会所定の書式)
- 本人との続柄がわかる戸籍や住民票等(3親等内の親族が照会するとき)
- 委任状(任意代理人として弁護士、司法書士、行政書士が照会するとき)
- 利用料3,000円
ご家族が災害により死亡または行方不明になったとき
- 配偶者、親、子または兄弟姉妹
- 配偶者、親、子または兄弟姉妹の法定代理人または任意代理人
災害時の場合、あらかじめ用意する必要書類はありません。費用も無料となります。
照会申請の方法
照会申請の方法は、「生命保険協会のホームページ」から申し込みをします。
申請書などの書面を郵送してもらう方法
生命保険協会のホームページの専用フォームに照会をする人の氏名や生年月日、住所などを入力し、送信をします。
申請した後、申請書類が郵送されますので、必要事項を記入して必要書類と一緒に返送をすることにより、申請が完了します。
ホームページから申請する方法
書面を郵送してもらう方法以外にも生命保険協会のホームページから申請することもできます。
まず、ホームページからユーザー登録を行います。そして、マイページから申請書をダウンロードして、必要事項を入力した後に、必要書類をスキャンしたPDFファイルやスマートフォン等で撮影した画像をアップロードします。
この方法はパソコン操作に慣れている方であればお勧めですが、入力や操作が難しいと感じる方は書面を郵送してもらう方法をお勧めします。
手続き方法の詳細は、「生命保険契約照会制度ご利用の手引き(引用元:一般社団法人生命保険協会WEBサイト)」をご覧ください。
照会結果を受け取った後の対応
照会申請をした日から2週間程で、保険契約の有無が記載された照会結果の回答が届きます。
回答書のイメージ
引用元:一般社団法人生命保険協会WEBサイト
ただし、冒頭でもご説明しましたが、生命保険契約照会制度によって開示されるのは、「生命保険契約の有無」のみです。
照会結果を受け取った後は、生命保険会社へ問い合わせましょう。
まとめ
記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ここでは、亡くなったご家族が生命保険に加入しているかわからない場合の調査方法について、解説いたしました。
なお、生命保険金の請求は保険金支払事由が発生してから3年以内に請求しなければ、時効により消滅してしまいます。亡くなった方の生命保険の加入状況がわからない場合は、「生命保険契約照会制度」を利用して、なるべく早めに確認するようにしてください。
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