
記事をご覧いただき、ありがとうございます。
司法書士の山田です。
「そろそろ遺言書を用意した方がいいかな…」と思っても、実際に調べるといろんな種類が出てきて迷いますよね。
中でもよく耳にするのが 「自筆証書遺言」 と「 公正証書遺言」。
名前は知っているけれど、「結局どちらを選べばいいの?」と悩む方はとても多いです。
この記事では、それぞれの特徴や違いを分かりやすくまとめました。
「私の場合はどっちがいいかな?」と考えるヒントになれば嬉しいです。
このページの目次
自筆証書遺言ってどんなもの?
自筆証書遺言とは、読んで字のごとく、ご自身の自筆で紙に書く遺言書です。
メリット
- 費用がほとんどかからない(※専門家に文案作成を依頼する場合は、別途費用がかかります。)
- 思い立ったときにすぐ書ける
- 誰にも知られずに作成できる
デメリット
- 書き方を間違えると「無効」になる可能性がある
- 家で保管すると紛失や改ざんのリスクがある
- ご自身が亡くなった時に、見つけてもらえなければ効力がない
- 家庭裁判所の検認手続きが必要になる ※参考記事「遺⾔書の検認について」
👉 最近は「法務局で保管できる制度」もできたので、昔よりは安心度が上がっています。
参考記事:「遺言書保管制度の特徴と利用する場合の注意点」
公正証書遺言ってどんなもの?
公正証書遺言は、公証役場というところで、公証人と呼ばれる専門家に立ち会ってもらい作成する遺言書です。
メリット
- 公証人が関わるので法的に無効になる心配がほとんどない
- 遺言書原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がない
- 相続のときに家庭裁判所での手続き(検認)が不要
デメリット
- 費用がかかる(数万円程〜)
- 公証役場に出向く必要がある
- 証人2人を立てる必要がある
違いをひと目でチェック!
項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
費用 | ほぼ無料 | 数万円〜(財産額による) |
手軽さ | 自身でいつでも書ける | 公証役場に行く必要あり |
信頼性 | 無効になるリスクあり | 専門家が関与で安心 |
保管先 | ご自身 | 公証役場 |
相続時の流れ | 検認手続きが必要 | 検認不要でスムーズ |
参考記事:「知っておくべき遺言書の種類」
どちらを選ぶのがいい?
- 自筆証書遺言がおすすめなケース
・財産が少額でシンプルに分けたい
・とりあえず遺言を残したい
・費用をかけずに済ませたい - 公正証書遺言がおすすめなケース
・不動産や預貯金など財産が多い
・相続人が複数いて揉める可能性がある
・確実に法的効力を持たせたい
👉 特に不動産の相続や相続人が多数いるなど複雑な遺産分割が予想される場合は、公正証書遺言がおすすめです。
実際の相談事例
事例①:自筆証書遺言でトラブルに
当事務所にご相談に来られた方の事例です。ご相談者の亡くなられたお母様は、自筆証書遺言を作成されていました。しかし、内容を拝見したところ、いくつかの問題点がありました。
- 遺言書を作成した日付の記載がない
- 相続人に相続させる不動産を記載していたが、相続登記で必要な「地番」や「家屋番号」ではなく「住所」で書かれていた
このため、遺言書は法的効力を持たず、遺言に基づく手続きは行えませんでした。結局、相続人全員で遺産分割の話し合いを行う必要があったのですが、相続人が多かったこともあり、協議から相続登記が完了するまでには約1年程かかりました。
👉 「簡単に書ける」というメリットはあるものの、書き方を少し間違えるだけで効力を失ってしまうのが自筆証書遺言の注意点です。
事例② 公正証書遺言でスムーズに手続き
こちらも当事務所にご相談に来られた方の事例です。ご相談者の亡くなれた叔父様は、公正証書遺言を作成されていました。
公正証書遺言は、前述したとおり、公証人が関与して作成される遺言書なので、法的に無効になることはなく、また、亡くなった後も「検認手続き」が不要でしたので、スムーズに相続手続きが進み、トラブルなく手続きが完了しました。
👉 少し費用はかかっても、「安心して残せる」点は公正証書遺言の大きなメリットです。
専門家に相談するのが安心
「自分にはどっちが合ってるんだろう?」「実際に書くとき、どんな内容にすればいいのかな?」とこんなふうに迷ったときは、司法書士などの専門家に相談してみると安心です。
- 専門家がご自身の希望に沿った遺言の文案作成をサポート
- 公正証書遺言作成や証人手配もサポート
- 相続登記や預貯金相続も見据えたアドバイス
実際にご家族の状況や財産の内容を伺いながら、どの方法やどういった文案が良いのか一緒に考えて作成いたします。
参考記事:「遺言書の書き方と専門家に作成を依頼することのメリット」
まとめ
- 自筆証書遺言は手軽で費用がかからないけれど、リスクもある
- 公正証書遺言は費用がかかる分、確実で安心
- 不動産や揉め事の心配があるなら、公正証書遺言がおすすめ
遺言書の作成は、ご自身やご家族の将来の安心につながる大切な準備です。せっかく準備するなら、きちんと効力のある形で残してあげたいですよね。
「どちらの遺言にすべきか迷っている」「自分のケースに合った遺言を作成したい」という方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
一人で悩むより、ずっと安心して準備を進められるはずです。
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