司法書士の費用について誤解されていること

個人の方が司法書士に業務を依頼する機会は、そう多くはないかと思います。

司法書士に、業務を依頼する代表的な例としては、土地や建物、マンションなどの不動産を購入するときや亡くなった人から不動産を相続したときなど、不動産の名義を変更するための登記手続きです。

その際、司法書士に支払う費用が事案によっては、数百万円になることも珍しくありません。

司法書士に業務を依頼した経験がなかったり、関わったことがない方にとっては、非常に高額な金額なため驚かれる方もいます。

そして、この請求金額の全てが司法書士の報酬(手数料)であると思われることがあります。

ここで皆様にお伝えしたいことが、この費用の全てが司法書士の報酬にはならないということです。

司法書士が請求する金額の内訳は、大まかに以下のような内容になります。

  • 登録免許税などの実費(交通費・郵送費等)
  • 司法書士の報酬(手数料)

司法書士が請求する金額の中には、上記の「登録免許税」という税金が含まれています。

そして、不動産を売買により取得する場合は、登記費用のうち7割から9割は、登録免許税になることが多くあります。

なぜ、司法書士が登録免許税を含めた費用を請求するのか疑問を持たれる方がいます。

登録免許税は、登記申請と同時に法務局へ支払う必要があります。

司法書士は、ご依頼人の代理人として登記申請します。そして、この登録免許税もご依頼人に代わって司法書士が法務局に支払うことになります。

つまり、ご依頼人に代わって、司法書士が登録免許税を立替えて支払う必要があるということです。

ただ、実際には登記申請前に、登録免許税を含めて費用をご精算いただくことが通常です。

つなみに、相続登記を申請する場合の登録免許税の税率は、固定資産評価額×0.4%になります。(登記する原因が売買などの場合は、税率も高くなります。)

登録免許税は、ご自身で登記申請する場合でも必ずかかる費用になります。

よく、登記費用が高いと思われたり、請求金額の全てが司法書士の報酬と誤解されがちです。

もっともご依頼いただいた事案の難易度によって、通常よりも報酬が高くなることもあります。

現在、司法書士の報酬は自由化されており、各事務所によって算定の仕方が異なることがあります。

本記事を書いた目的は、一般の方にとって登記手続き自体が馴染みがないため、いざ司法書士に依頼すると何十万円から何百万円と請求されたとご相談をいただくことがあったためです。

当事務所も司法書士事務所ですが、事情を伺ってみるとほとんど場合は、不動産自体の価額が高額なため登録免許税も高額になるケースです。

司法書士が請求する金額の全てが司法書士の報酬ではないことにご留意頂ければと思います。

司法書士山田武史

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