記事をご覧いただき、ありがとうございます。港区の司法書士山田武史です。
前回の記事では、「面識のない相続人から相続に関する手紙が届いたときの対応方法」について、ご紹介しました。
今回は、反対に面識のない相続人や長年疎遠になっている相続人へ相続手続きに関する連絡をするときの方法と注意点をご紹介します。
このページの目次
面識のない相続人に連絡する方法
面識がない相続人や長年疎遠になっている相続人は、お互いに連絡先をしらないことが通常です。
そういった場合は、以下の方法で相手先の連絡先を調べることになります。
戸籍の附票を取得する
ご家族が亡くなると、普段連絡を取り合っている親族同士でしたら電話やメールなどで訃報を知らせることができます。しかし、面識がない場合や長年疎遠になっている親族(相続人)同士の場合は、お互いに連絡先を把握していないため、訃報を知らせることができません。
また、ご自身の親族の中に、相手方の相続人に近い親族に連絡を取り、相手の連絡先が分かれば良いのですが、多くのケースでは、近い親族の連絡先も知らないことがあります。
こういった場合は、まず相手の「住所」を調べることから始めます。
相続手続きでは、相続人調査の過程で相続人全員の戸籍を収集しますが、その際に「戸籍の附票(こせきのふひょう)」を取得することで、各相続人の住所を確認することができます。
戸籍の附票とは、その相続人が本籍を置いている市区町村で管理されている住所の移転履歴が記載された証明書のことです。
まずは、被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集して、相続人全員の現在の本籍地を把握し、戸籍の附票を取得することで、相手先の現在の居所を特定することから始めます。
相手先の住所が判明したら手紙を送ってみる
相手先である相続人の住所が判明したら、相続手続きに協力してもらうために手紙を書いて送るようにしましょう。住所が判明したからといって、いきなり自宅を訪ねることはお勧めできません。
特にお互い面識のない相続人同士では、いきなり自宅に訪ねてしまうと相手も不安になったり、警戒してしまうこともあり、その後の手続きにも悪い影響が及ぶ可能性があります。
突然、訪ねることは避けて、手紙を送ることから始めてみます。
手紙の内容には注意が必要
相手方に送る手紙の内容は、慎重に検討する必要があります。
特に、気を付けないといけないのは、手続きを急ぐあまり、初めから「遺産分割協議書」を送って、実印の押印や印鑑証明書を求めたりすると、相手方に不信感や警戒心を抱かせることがあり、その後の手続きが滞ってしまったり、争いの原因になるなどトラブルに発展することがあります。
手紙に記載する内容については、受け取る相手方の心情に配慮して、相続手続きに協力してもらえるよう慎重に検討する必要があります。
手紙に記載する内容
相手方の相続人に送る手紙の内容は、以下の事項を基本に記載するようにします。
※ただし、事案に応じて記載する内容が異なることもあります。
相続人であることを伝える
手紙の差出人であるご自身の身分を明らかにするために、ご自身の氏名と被相続人との続柄を記載して、差出人が相続人であることを知らせます。
また、相手方も相続人であることを知ってもらうために、その旨記載することや、参考として「相続関係説明図」などを手紙と一緒に同封することでより明確になります。
手紙を出した経緯を記載する
故人(被相続人)が亡くなった日や、相続人の調査を進めていく中で、相手方の住所が判明したことなどを記載します。また、今後の相続手続きを進めるには、相手方の協力が必要になることなど、手紙を出した経緯について記載します。
自身の連絡先を記載する
相手先から連絡をもらえるよう、差出人であるご自身の電話番号やメールアドレスを記載して、連絡をもらえるようにしましょう。
困ったときは専門家を頼ってみる
本記事では、面識のない相続人や疎遠になっている相続人と連絡を取る方法をご紹介しました。
どのような内容の手紙を書いたら良いか迷っている方は、手紙の書き方や内容を含めて司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けることをお勧めします。
特に面識のない相続人に送付する手紙の文面は、相手方に不安や不快感を与える内容になっていないか、相続手続きに協力してもらえるよう慎重に検討する必要があります。
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